2006年07月22日

殺人の門 東野圭吾  4

今年から積極的に本を読むようになったのですが
そうすると不思議と色んな方に気に入った本を紹介されます。
従って読まなければいけない本が段々山積みになっています・・・


出版社/著者からの内容紹介
あいつを殺したい。でも、殺せないのはなぜだ。
どうしても殺したい男がいる。その男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。あいつを殺したい。でも、私には殺すことができない。殺人者になるために、私にはいったい何が欠けているのだろうか……。

内容は非常に暗いです。
なんとも言えない不快な空気が最初から漂っています。
読み始めたときは「せっかく読むなら、評価の高い幻夜から読めばよかった・・・」と
軽く後悔してしまいましたが
主人公の田島が何度も倉持に殺意をいだきつつ殺せないでいると
「いつ殺人が実行されるのだろう」
「結局最期まで殺人を犯せないのではないか」
などと考えていると、徐々にこの本にのめりこんでいく自分を感じました。
(ここから一部ネタバレしてしまいます)
私は途中から主人公は倉持を最終的には殺せないだろうと確信してしまいました。
倉持のせいで、どんなひどいことが主人公の身に起こったとしても
主人公自身にも非がある部分もあったので。
それゆえラストシーンが思いのほかショッキングでした。
まあまさに東野氏の狙い通りなのでしょうが。

少し残念なのは、倉持の魅力を描ききれていない点です。
女性にもてたり、仕事(人をだます)ができるのはわかるのですが
どうも魅力的には感じませんでした。
まあ東野氏の作品はいつも人物描写が淡々としているというか
一歩ひいた感じなので、これが東野氏の特徴と言ってしまえばそれまでですが。
だからというわけではないのですが
倉持がでてくるたびに、自分の友人の一人をいつも思い出していました。
彼は別に人をだましたりとかするわけではないのですが
なぜか適度に女性にモテて、私の知らない友人も多く、その友人に好かれているようなのですが
不思議と私にからんでくるというか、なにかと接触を持ちたがります。
従って主人公が感じている殺意は彼には感じませんが
なんとも言えない「信頼されている」感を彼から感じています。
こういうのがあると本にも感情移入しやすいですね。

あと読み終えたあと、なんだかすっきりしないというか爽快感はありません。
もちろん爽快感がある本が素晴しいという、単純な話ではないのですが。
途中、刑事が
 殺意から一歩踏み出すのには、かなりの覚悟がいる。
 動機があるだけでは、殺人は出来ない。
 動機も必要だが、環境、タイミング、そのときの気分、それらが複雑にからみ合い、人を殺す。
といったようなことを言うのが印象てきでした。
人に殺意を抱く人と抱かない人は明らかに違うものなのでしょうが
殺意を抱いていて実際に殺してしまう人と
殺意を抱いているが実際に殺せない人とは
大きな違いはないのではないでしょうか。
主人公はそれが「動機」の強さ・重さであるとずーっと考えていたようですが
それは要素の一部分、殺意を抱く人と抱かない人の違いに過ぎないのではないでしょうか。

というわけで、この本はあまり人に薦めません(笑)
人に勧められて読む本ではない気がします。
自発的に手にとってみることが必要な気がします。



殺人の門


d98222 at 14:34コメント(0)トラックバック(0)読書   この記事をクリップ!

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