2009年06月28日
悼む人(いたむひと) 天童荒太
久しぶりの大阪出張・・・ということで
この機会に分厚い本を読もうと、東野圭吾氏の「流星の絆」を準備しておりました。
この本、ドラマにもなったから内容を知っている人も多いかもしれませんが
東野圭吾氏らしいテンポの良さと、最後のどんでん返しで
大阪往復で読もうと思っていたのに、行きの移動時間でほとんど読んでしまった。。
「こりゃ帰ってから、久しぶりに(流星の絆)の読書感想でも書こうかな」
と思いながら、
でも帰りに何を読もうかなーと思って入った本屋で
天童荒太氏の直木賞受賞作「悼む人」に出会ってしまいました。
「天童荒太かぁ。(永遠の仔)読んだとき、引き込まれたんだけど、内容重いんだよなぁ(TДT)」
と、しばらく躊躇してたんだけど
「流星の絆」が結構さっぱりしていたから、帰りは一丁重い奴にいってみるかー
ということで、購入。
昨日昼の12時から読み出して、帰りの電車・飛行機に乗っている間と
帰宅後晩御飯を食べる時以外はずーっと読み続けて、夜の22時に終了。
なんと一気に読み終えてしまいました( ̄∠  ̄ )
内容(「BOOK」データベースより)
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。七年の歳月を費やした著者の最高到達点!善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。
主人公の坂築静人は30歳を超えた青年で、日本中を旅しています。
その旅の目的は「死者を悼むこと」
死者に重・軽はなく、殺人・事故死・病死・衰弱死なども等しく悼みます。
ここで言う「悼むこと」は「冥福を祈ること」とは異なります。
息子は酷い死に方をした。
学校でいじめにあっていたのだ。
気の弱い彼は何も言えず、ただ殴られ続けた。
こういった事件に対して、静人は遺族や関係者に同情や共感をするわけではなく
加害者に憤りを感じるわけでもなく
ただ
「彼は誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあるでしょうか。」
と問いかけます。
周りは戸惑います。
遺族としては加害者への恨みを聞いてもらいたいのに、彼はそこに興味を示しません。
つまり、静人は死者のよかった部分、愛されていた部分を「覚えている」ことを
旅をしながら続けているのです。
「ここにこんなに愛された人がいた」ということを覚え続けることが
ここでいう「悼むこと」です。
テレビでも新聞でも、理不尽な死がクローズアップされます。
ただ、そのクローズアップのされ方は
こんな事件を起こした凶悪犯人は酷い
過労自殺に追い込んだ会社は酷い
といった感じで、加害者に対してがほとんどです。
加害者については連日報道もあるし、視聴者にも覚えられることが多い。
しかし被害者はすぐに忘れられてしまう。
静人にとっては、その死者が忘れ去られること自体が辛い。
だからその死者のことを永遠と覚えている。
自分は忘れないよ。と
だから
「殺人・事故死・病死・衰弱死なども等しく悼む」ことができるわけです。
テーマ自体、非常に重いです。
この天童荒太ワールドに共感できない人も多いと思います。
でも、死者の立場になったら「忘れられる」ことに恐怖を感じることには
否定する人はいないと思います。
手段はともかく、静人は「覚えている」ことを約束してくれます。
それで救われる死者や遺族がいるってことも否定できないですよね。
ただ、ちょっと残念だったのは終盤。
一緒に旅をすることになった女性との(モゴモゴ)シーン。
ネタバレになるので、詳しくはいえませんが
ちょっとなぁー・・・って感じでした。
それにしても天童荒太はすごい。
けど、長いし、重い笑
ただこの重さや長さが、話の重厚感を演出しているわけなんですけどね。
伝えたいこと自体はたぶん1ページに凝縮できそうなんだけど、
それを伝えるために全体で450ページを使って空気を作ってる。
ここでちょっと思い出したのが、太宰治の「葉」の一幕。
兄はこう言った。
「小説を、くだらないとは思わぬ。おれには、ただ少しまだるっこいだけである。
たった一行の真実を言いたいばかりに百頁の雰囲気をこしらえている」
私は言い憎そうに、考え考えしながら答えた。
「ほんとうに、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることが
できるならば」
どちらが正解かなんて言うつもりもないし、どっちも正しいのでしょう。
この辺が「好き嫌いが分かれる」所以なのかなぁー
まーとにかく「永遠の仔」を読んだ方であれば、是非読んでみたください☆

悼む人
この機会に分厚い本を読もうと、東野圭吾氏の「流星の絆」を準備しておりました。
この本、ドラマにもなったから内容を知っている人も多いかもしれませんが
東野圭吾氏らしいテンポの良さと、最後のどんでん返しで
大阪往復で読もうと思っていたのに、行きの移動時間でほとんど読んでしまった。。
「こりゃ帰ってから、久しぶりに(流星の絆)の読書感想でも書こうかな」
と思いながら、
でも帰りに何を読もうかなーと思って入った本屋で
天童荒太氏の直木賞受賞作「悼む人」に出会ってしまいました。
「天童荒太かぁ。(永遠の仔)読んだとき、引き込まれたんだけど、内容重いんだよなぁ(TДT)」
と、しばらく躊躇してたんだけど
「流星の絆」が結構さっぱりしていたから、帰りは一丁重い奴にいってみるかー
ということで、購入。
昨日昼の12時から読み出して、帰りの電車・飛行機に乗っている間と
帰宅後晩御飯を食べる時以外はずーっと読み続けて、夜の22時に終了。
なんと一気に読み終えてしまいました( ̄∠  ̄ )
内容(「BOOK」データベースより)
聖者なのか、偽善者か?「悼む人」は誰ですか。七年の歳月を費やした著者の最高到達点!善と悪、生と死が交錯する至高の愛の物語。
主人公の坂築静人は30歳を超えた青年で、日本中を旅しています。
その旅の目的は「死者を悼むこと」
死者に重・軽はなく、殺人・事故死・病死・衰弱死なども等しく悼みます。
ここで言う「悼むこと」は「冥福を祈ること」とは異なります。
息子は酷い死に方をした。
学校でいじめにあっていたのだ。
気の弱い彼は何も言えず、ただ殴られ続けた。
こういった事件に対して、静人は遺族や関係者に同情や共感をするわけではなく
加害者に憤りを感じるわけでもなく
ただ
「彼は誰に愛されていたでしょうか。誰を愛していたでしょう。どんなことをして、人に感謝されたことがあるでしょうか。」
と問いかけます。
周りは戸惑います。
遺族としては加害者への恨みを聞いてもらいたいのに、彼はそこに興味を示しません。
つまり、静人は死者のよかった部分、愛されていた部分を「覚えている」ことを
旅をしながら続けているのです。
「ここにこんなに愛された人がいた」ということを覚え続けることが
ここでいう「悼むこと」です。
テレビでも新聞でも、理不尽な死がクローズアップされます。
ただ、そのクローズアップのされ方は
こんな事件を起こした凶悪犯人は酷い
過労自殺に追い込んだ会社は酷い
といった感じで、加害者に対してがほとんどです。
加害者については連日報道もあるし、視聴者にも覚えられることが多い。
しかし被害者はすぐに忘れられてしまう。
静人にとっては、その死者が忘れ去られること自体が辛い。
だからその死者のことを永遠と覚えている。
自分は忘れないよ。と
だから
「殺人・事故死・病死・衰弱死なども等しく悼む」ことができるわけです。
テーマ自体、非常に重いです。
この天童荒太ワールドに共感できない人も多いと思います。
でも、死者の立場になったら「忘れられる」ことに恐怖を感じることには
否定する人はいないと思います。
手段はともかく、静人は「覚えている」ことを約束してくれます。
それで救われる死者や遺族がいるってことも否定できないですよね。
ただ、ちょっと残念だったのは終盤。
一緒に旅をすることになった女性との(モゴモゴ)シーン。
ネタバレになるので、詳しくはいえませんが
ちょっとなぁー・・・って感じでした。
それにしても天童荒太はすごい。
けど、長いし、重い笑
ただこの重さや長さが、話の重厚感を演出しているわけなんですけどね。
伝えたいこと自体はたぶん1ページに凝縮できそうなんだけど、
それを伝えるために全体で450ページを使って空気を作ってる。
ここでちょっと思い出したのが、太宰治の「葉」の一幕。
兄はこう言った。
「小説を、くだらないとは思わぬ。おれには、ただ少しまだるっこいだけである。
たった一行の真実を言いたいばかりに百頁の雰囲気をこしらえている」
私は言い憎そうに、考え考えしながら答えた。
「ほんとうに、言葉は短いほどよい。それだけで、信じさせることが
できるならば」
どちらが正解かなんて言うつもりもないし、どっちも正しいのでしょう。
この辺が「好き嫌いが分かれる」所以なのかなぁー
まーとにかく「永遠の仔」を読んだ方であれば、是非読んでみたください☆
悼む人
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コメント一覧
1. Posted by 理科 2009年07月03日 11:20
こないだは本当に有難う(*^_^*)&お疲れ様です!
流星の絆、早く文庫にならんかな〜
自分は少し前に出た、パラドックス13気になってます
「悼む人」面白そうだね!
でも表紙怖すぎ。触ったら毒が手に染み込みそう!!
流星の絆、早く文庫にならんかな〜
自分は少し前に出た、パラドックス13気になってます
「悼む人」面白そうだね!
でも表紙怖すぎ。触ったら毒が手に染み込みそう!!
2. Posted by のむさん 2009年07月07日 06:16
理科さん、コメントありがとうございます〜
持ち運ぶの大変だから、文庫派の人多いよねー
まー俺も基本そうなんですが、気になる本は買っちゃうんです。
文庫化されるのは、一般的に3年が目安らしいから、『流星の絆』が文庫化されるのは、まだまだ先かなぁ
でも、TBSドラマになったから、意外と早く文庫化されるかもね。
『悼む人』の表紙は確かに怖い・・・
っていうか、背景も普通のオフィスっぽくて、本の表紙っぽくないんだよね。
そこで、調べてみると
表紙の写真は『舟越桂』氏の彫刻で、著者の天童さん自身が、舟越さんのアトリエをたずねる機会があって、その折にご自身で撮影したものだそう。
あとがきで天童氏はその彫刻について、
『その姿は清新かつ妖しく、寛容なのに気品があり、無垢でいて謎に満ちている。<悼む人>の精神的な象徴があらわれているように思い』
この写真を机に置いて執筆を続けたと書いています。
そして無理を言って、その写真をそのまま表紙にしたそう。
という事で、この表紙は天童氏の強いこだわりから、こうなったようだけど、やっぱりもうちょっとなぁ・・・って思っちゃいました笑

持ち運ぶの大変だから、文庫派の人多いよねー
まー俺も基本そうなんですが、気になる本は買っちゃうんです。
文庫化されるのは、一般的に3年が目安らしいから、『流星の絆』が文庫化されるのは、まだまだ先かなぁ
でも、TBSドラマになったから、意外と早く文庫化されるかもね。
『悼む人』の表紙は確かに怖い・・・
っていうか、背景も普通のオフィスっぽくて、本の表紙っぽくないんだよね。
そこで、調べてみると
表紙の写真は『舟越桂』氏の彫刻で、著者の天童さん自身が、舟越さんのアトリエをたずねる機会があって、その折にご自身で撮影したものだそう。
あとがきで天童氏はその彫刻について、
『その姿は清新かつ妖しく、寛容なのに気品があり、無垢でいて謎に満ちている。<悼む人>の精神的な象徴があらわれているように思い』
この写真を机に置いて執筆を続けたと書いています。
そして無理を言って、その写真をそのまま表紙にしたそう。
という事で、この表紙は天童氏の強いこだわりから、こうなったようだけど、やっぱりもうちょっとなぁ・・・って思っちゃいました笑
